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住友赤平炭鉱《2021,4/3訪問》

住友赤平炭鉱第1立坑櫓

旧住友石炭(現住石マテリアルズ)が北海道赤平(あかびら)市で1963年に完成させた炭鉱だ。1994年に閉山し、立坑櫓関連構造物や坑口浴場の建物を残して大半は解体された。

2018年に赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設が隣接地に開業。現在は1日2回、800円の参加費を支払うことで立坑櫓及び自走枠(じそうわく)整備工場跡を、元赤平炭鉱職員の方によるガイド付きで見て回ることができる。

ちなみに資料館は無料だ。

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【資料館】

こじんまりした資料館だと感じたが、物足りない訳ではなく、コンパクトにまとまっていると言う印象だ。

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炭鉱救護隊を紹介しているコーナー
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現場系の職場ではよくハインリヒの法則などという言葉を聞くが、災害防止教育教材としてわかりやすいドミノ形式で示されている。
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救護隊の救護服は純綿製。化学繊維より静電気の発生が抑えられるららしく、出動時にはさらに水をかぶってさらに静電気の発生を抑える。

坑内では静電気は大敵なのだ。

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赤平炭鉱一帯の模型。閉山時より前の状況を表しているが、これで完成かと思いきや壊れているそうだ。

【いざ立坑櫓へ】

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-550L(レベル)巻き上げヤード。手前の見切れている装置が巻き上げ機、奥は制御台だ。

そもそも立坑とは巨大なエレベーターで、赤平炭鉱ではそれぞれの海抜から-550Lと-350Lという2つの行先があった。

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制御台内部は当時のカレンダーまで保存されている。
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隅にはマンガのような巨大なスパナが。これまた巨大なナットを締めるのに使っていたそうだ。

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巻き上げ機。

巻き上げヤードの根幹である巻き上げ機はロープこそ残っていないが、今にでも動きそうな雰囲気を醸し出している。

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操車場。

硫黄のような匂いが充満する。

ここが見たくて訪れたようなもので、実物を前に興奮が抑えられなかった。
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炭車とズリ車。

黄色いトロッコが石炭を乗せる炭車で、1両に約2トンの石炭を乗せていた。最盛期で約3000両あったが、それでも数が足りなかったそうだ。

黒いトロッコは石炭以外の岩土、いわゆるズリを乗せていた。
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操車場の制御台。

立坑を使い地上に降りてきた炭車は操車場内で前の炭車を押し出すように自動的に行き来し、石炭を下ろした後にまたゲージに戻るという動きを繰り返す。
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転轍機の操作板と椅子。

前述したように動き続けている炭車を完全に止める時が1日に何度かあった。

そのための操作をしていたであろう制御版の周辺はとても保存状況が良い。
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立坑鉱口と立坑ゲージ。

鉱口櫓の建設には東京タワーの建設に関わった職人も多かったそうで、完成から半世紀がとうに経過しているが構造物としての強度は依然保っているそう。

ゲージは縦に4段、炭車は4台人員は72名が乗るできる。人員が乗り込む際の時間短縮のため、操車場の地下に人員用の乗り口が作られている。
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炭車とダンパー。

単車の横に見えるダンパーを使い、炭車を弾き出す。操車場の肝ともいえる箇所だ。
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斜坑人車。

この人車は付近の斜鉱から持ってきたらしい。

坑口を向いて座り、背中側から坑内へ降っていく。

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立坑櫓横の事務所跡。

薄ピンクの可愛らしい塗装だがかつての鉱口事務所で、住友炭鉱職員向けの浴場等を併設していた建物。

正規の見学コースには含まれていないが、ガイドの方の好意で少しだけ教えてもらえた。

この建物を横目に見ながら立坑櫓見学は終了する。

 

【訪問所見】

炭鉱町というのは得てして寂れているものだが、赤平市炭鉱ガイダンス施設のような施設を新設出来るほどの余力があるというのは驚いた。

当日の来訪者は私を除くと親子連れが1組。そのグループも立坑櫓見学は参加しなかったため、元赤平炭鉱職員の方とのマンツーマンでの見学ができた。立坑櫓の跡に向かった自走枠整備工場など、くだらない疑問にも丁寧に分かりやすく答えていただいた。

事前にもうすこし予習をしてから再度訪問をして見たい。

 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設】

住所:北海道赤平市485番